握力の鍛え方|握る・持ち続ける・つまむ力の種類別トレーニングと回数の目安

握力の鍛え方|握る・持ち続ける・つまむ力の種類別トレーニングと回数の目安

最終更新: 2026年10月4日

握力を鍛えるには、まず握力を「握りつぶす力」「持ち続ける力」「つまむ力」の3種類に分け、伸ばしたい力に合う種目を選びます。ハンドグリップで伸びるのは主に握りつぶす力で、重い物を長く持つ力はぶら下がりやキャリーで鍛えます。初心者は週2〜3日が目安です。筋力の伸びは数週間で出始めます。

この記事の要点

  1. NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)の指導者向け誌に載った解説では、握力は握りつぶす・つまむ・持ち続けるの3種類に分かれ、それぞれに合う種目で鍛えます
  2. 回数の目安は、筋力なら8〜12回で限界になる負荷、持久力なら軽めの負荷で15回超を短い休憩でこなす形です(米国スポーツ医学会の指針)
  3. 練習の効果は数週間で出始め、メタ分析では平均およそ4kg伸びました(若い世代は伸びが小さめ)
この記事の内容

握力にはどんな種類がありますか

NSCAの解説記事は、握力を次の3つに分けています。どれを鍛えたいかで種目が変わります。

種類手の使い方日常の例代表的な種目
握りつぶす力(クラッシュ)指を手のひらへ握り込む握手で強く握り込むハンドグリップ、太いバーを握る種目
持ち続ける力(サポート)重い物を一定時間ぶら下げる買い物袋を提げて歩くファーマーズキャリー、デッドハング
つまむ力(ピンチ)親指と4本の指で挟む厚い本を片手で持つプレートピンチ

同じ記事は、それぞれの握り方に負荷をかける種目を入れると、その握り方に合った適応が起きると述べています。ハンドグリップだけで3種類すべてが伸びるわけではありません。

握る力を生むのは前腕の屈筋です。手首を安定させるのは反対側の伸筋で、NSCAはこちらも鍛えるよう勧めています。

器具なし・ハンドグリップ・ジムでは何をすればいいですか

環境ごとに、3種類の力に当てはまる種目を整理しました。

環境握りつぶす力持ち続ける力つまむ力
器具なしタオルを丸めて強く握る鉄棒や懸垂バーでぶら下がる厚い本の背をつまんで持つ
ハンドグリップ閉じきる動作を反復する(向かない)(向かない)
ジムバーにタオルを巻いて握るファーマーズキャリー、デッドハング2枚のプレートを挟んで持つ

器具なし。 鉄棒にぶら下がるデッドハングは、自分の体重がそのまま負荷になります。足を床につけたまま体重を少し預ける形から始めると、肩への負担を調整できます。

ハンドグリップ。 8〜12回で閉じきれなくなる強さが筋力向けの目安です。楽に15回を超えて閉じられるなら、筋力より持久力の練習になっています。

ジム。 NSCAは、バーやダンベルにタオルを巻いて太くすると、握り込むのに大きな力が要ると紹介しています。いつもの種目に布を1枚足すだけで握力の負荷が上がります。ケトルベルでの持ち方はケトルベルトレーニング入門にまとめています。

手首の伸筋には、指にゴムバンドをかけて広げる動作が手軽です。

回数・頻度はどれくらいが目安ですか

米国スポーツ医学会(ACSM)の筋力トレーニング指針を、握力の種目に当てはめると次のようになります。

目的負荷の目安回数・休憩頻度(初心者)
筋力(握りつぶす力など)8〜12回で限界になる重さ1〜3セット週2〜3日
局所の持久力(持ち続ける力)軽〜中程度(楽に15回を超えられる重さ)15回超、休憩90秒未満筋力と同じ週2〜3日を目安に

目標の回数より1〜2回多くできる日が続いたら、負荷を2〜10%上げます。

練習のどこに入れるかにも目安があります。NSCAは、握力の種目は練習の後半に回すよう勧めています。先に前腕を疲れさせると、優先したい主要種目の質が落ちるためです。追加は2セット程度に収めると、全体の量が増えすぎません。

長く持ち続ける力は、保持時間でどう組めばいいですか

持ち続ける力は回数ではなく秒数で管理します。ここは研究で決まった処方ではなく、本サイトが上の持久力の目安(休憩90秒未満)を当てはめた組み方の一例です。

手順やること
1. 測るデッドハングかキャリーで、落とすまでの秒数を1回測る
2. 区切る限界の手前で止めて1本とし、休憩90秒未満で数本くり返す
3. 伸ばす合計の保持時間を少しずつ増やし、ときどき限界を測り直す

限界まで持つ1本より、手前で区切った本数を重ねるほうが、毎回の保持の質を保ちやすくなります。

保持に特化した練習で秒数が伸びた研究もあります。上級の男性ボルダラー23人を対象に、指でぶら下がる練習を4週間続けた群は、ぶら下がっていられる時間が平均5.4〜6.7秒延びました。ボルダリングの練習を続けた群(3.0〜3.9秒)より大きな伸びです。上級者が指先でぶら下がる練習での結果なので、初心者が鉄棒でぶら下がる場合にそのまま当てはまるとは限りません。

効果が出るまでどれくらいかかりますか

最初の数週間に伸びるのは主に神経の働きです。8週間の筋トレを追った研究では、初期の筋力の伸びの大半は神経の適応によるもので、3〜5週目以降は筋肥大の比重が大きくなりました。

健康な成人を対象にした22件の比較試験のメタ分析(1,017人)では、2〜13週間の手と前腕の練習で握力は平均およそ4kg伸びました。ただし若い世代では伸びが小さく、高齢の人ほど効果が大きい傾向でした。根拠の確実性は低いと評価されています。数週間で数字が変わらなくても、すぐに方法を変える必要はありません。

ハイロックスではどこで握力が切れますか

ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと8種目を交互に行うフィットネスレースです。握力は1つの種目で使い切るのではなく、1種目めのSkiErgから最終種目まで、5つの種目で少しずつ削られていきます。

順番種目握力の使い方中央値(男性/女性)
1SkiErg(スキーエルゴ)ハンドルを握って引き下ろす4:29 / 5:11
3Sled Pull(スレッドプル)ロープを握り、手繰り続ける5:03 / 5:46
5Rowing(ローイング)ハンドルを握って漕ぎ続ける4:49 / 5:25
6Farmers Carry(ファーマーズキャリー)ケトルベルを提げて200m2:09 / 2:17
8Wall Balls(ウォールボール)ボールを両手で支えて100回投げる6:52 / 6:30

※所要時間はHyroxDataLabによる公開リザルトの第三者集計で、公式発表ではありません。

ロープやハンドルを握る種目のなかで、握り続ける時間が長いのはスレッドプルです。マシン種目では、ローイングマシンのメーカーConcept2が、ハンドルを強く握り込むと前腕がこわばり、疲れやすい小さな筋肉に負担がかかると説明しています。手はフックのように引っかけ、引く力は脚と背中で作ります。

ルールにも握力の対策が関わります。チョークが使えるのはスレッドプルとファーマーズキャリーだけで、他の種目で使うと2分の加算です。グローブは使えますが、体操用のグリップは認められていません。ファーマーズキャリーは途中でケトルベルを置いて休めます。種目の練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイドで扱っています。

注意点・向かない人・限界は

指や手首に痛みがある人。 日本手外科学会は、指の付け根の痛みや腫れ、指が引っかかる症状をばね指として説明しています。手首の親指側が腫れて痛む場合はドケルバン病の可能性があります。痛みがあるまま握力の練習を続けず、整形外科や手外科の医師に相談してください。

つまむ種目は軽く始めてください。 NSCAの解説では、強くつまむ動作は握り込む動作より前腕の腱に大きな負担をかけるとされています。

肩に不安がある人。 ぶら下がりは肩に体重がかかります。足を床につけた形から始めてください。

握力だけではハイロックスのタイムは大きく縮みません。 ファーマーズキャリーは8種目で最も短い種目です。握力を鍛える意味は、終盤の種目で握れなくならないようにすることにあります。走る力と脚の力の練習を削ってまで時間を割く必要はありません。

よくある質問

Q1: 握力は毎日鍛えてもいいですか?

A: 初心者は週2〜3日が目安です。毎日握ると前腕の疲れが抜けにくくなります。痛みが出たら休んでください。

Q2: ハンドグリップだけで握力は強くなりますか?

A: 握りつぶす力は伸びます。ただし重い物を長く持つ力やつまむ力は、それぞれの握り方で鍛える必要があります。キャリーやぶら下がりを組み合わせてください。

Q3: 握力の種目は練習のどこに入れればいいですか?

A: 後半に回します。先に前腕を疲れさせると、デッドリフトや懸垂など、握って行う主要な種目の重量や回数が落ちます。

Q4: ハイロックスでグローブやチョークは使えますか?

A: グローブは使えます。体操用のグリップは使えません。チョークはスレッドプルとファーマーズキャリーだけで認められ、他の種目での使用や自前の持ち込みは2分の加算です。

Q5: ファーマーズキャリーで握力が切れたら置いてもいいですか?

A: 置いて休むのは認められています。ただし置くときにケトルベルを前に動かしてはいけません。

Q6: 自宅で器具を買わずに鍛えられますか?

A: 鉄棒でのぶら下がり、タオルを握る動作、厚い本をつまむ動作でも始められます。キャリーの代わりに水を入れた容器を提げて歩く方法もあります。器具なしの練習全体は自宅だけでハイロックスに備えるトレーニングにまとめています。

まとめ

握力は、握りつぶす力・持ち続ける力・つまむ力の3種類に分けて鍛えます。ハンドグリップは握りつぶす力、ぶら下がりとキャリーは持ち続ける力、プレートピンチはつまむ力に効きます。

回数の目安は、筋力なら8〜12回で限界になる負荷、持久力なら軽めの負荷を短い休憩で重ねる形です。持ち続ける力は、限界の秒数を測ってから手前で区切って本数を重ねると組みやすくなります。

ハイロックスでは、スレッドプルからウォールボールまで握力が少しずつ削られます。練習全体の組み立てはハイロックスのトレーニング完全ガイド、持ち方の技術はFarmers Carry攻略とSled Pull攻略を参照してください。グローブなどの可否はハイロックスの小物ガイドで整理しています。


※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。

※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載の回数・セット数は一般的な目安で、保持時間の組み方は本サイトが組んだ例です。いずれも研究に基づく個人向けの処方ではありません。

※本記事は次の資料に基づきます。チョーク・グローブ・ケトルベルの規定は HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27 によるもので、ルールブックは毎シーズン改訂されます。種目別の所要時間は HyroxDataLab による公開リザルトの第三者集計で、HYROX公式が発表した数値ではありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の内容