最終更新: 2026年10月5日
HIIT(高強度インターバルトレーニング)とは、きつい運動を短く行い、休息か軽い運動を挟んで繰り返すトレーニングの総称です。20秒運動・10秒休憩×8本のタバタ式は、その中の一つの方法です。研究では、持続的な運動より短い時間で、同等かやや大きい心肺機能の向上が報告されています。初心者は週1〜2回、休息を長めに取る形から始めるのが本サイトの勧め方です。
この記事の要点
- HIITは運動と休息の比も強度も幅が広い言葉です。タバタ式の原著は、最大酸素摂取量の約170%という非常に高い強度で行われました
- 28件の研究のメタ分析では、HIITは持続的な運動より最大酸素摂取量の伸びがやや大きい結果でした。脂肪の減り方は、別の2つのメタ分析で同程度か、やや大きいという結果です
- 運動後の「アフターバーン」の上乗せは、持続的な運動の研究では運動中の消費の6〜15%程度です。インターバルでも、痩せる効果の主役になるほど大きいという根拠はありません
HIITとは?タバタ式とはどう違いますか
HIITトレーニング(高強度インターバルトレーニング)には、決まった秒数や本数がありません。研究では、最大に近い強度で行う「HIIT」と、最大酸素摂取量に相当する強度を超える、全力に近い強度で行う「スプリントインターバル(SIT)」を分ける分類が使われています。狭い分類ではタバタ式や下の表のスプリントインターバルはSITですが、本記事ではSITを含めた広い意味でHIITと呼びます。
| 方法 | 運動と休息 | 強度 | 出典 |
|---|---|---|---|
| タバタ式 | 20秒運動・10秒休憩×7〜8本 | 最大酸素摂取量の約170%(疲れ切るまで) | Tabata ほか 1996 |
| スプリントインターバル | 20秒全力・2分の軽いこぎ×3本 | 全力(自転車で約500W) | Gillen ほか 2016 |
| 4分インターバル | 4分運動・3分の軽めの運動×4本 | 最大心拍数の90〜95%(回復は70%) | Helgerud ほか 2007 |
| 自重のインターバル | 20秒運動・10秒休憩×8本 | 種目の指定のみ(強度の記載なし) | McRae ほか 2012 |
代表的な方法を並べると、同じHIITでも運動と休息の比がまったく違うことが分かります。
タバタ式の原著は、自転車エルゴメーターを使った研究です。7人が週5日・6週間行い、最大酸素摂取量が1分・体重1kgあたり7ml上がり、無酸素性の能力も28%上がりました。中強度で1日60分こぐ別の実験でも最大酸素摂取量は53mlから58mlに上がりましたが、無酸素性の能力は変わりませんでした。
一般に「タバタ」と呼ばれる自重の20秒・10秒は、時間の区切りだけを借りた形です。原著の強度は、7〜8本で疲れ切るほどの高さでした。秒数をそろえても、同じ効果が出るとは限りません。
HIITにはどんな効果がありますか
心肺機能が持続的な運動よりやや大きく伸びる
18〜45歳の健康な成人723人、28件の比較試験をまとめたメタ分析があります。運動しない群と比べた最大酸素摂取量の伸びは、持続的な運動で1分・体重1kgあたり4.9ml、HIITで5.5mlでした。両者を直接比べた分析では、HIITのほうが1.2ml程度大きく、効果の大きさは「小さい」と判定されています。
時間あたりの効率が高い
運動習慣のない男性を対象に、各群10人前後で12週間比べた研究があります。1回10分(全力は合計1分)のスプリントインターバルと、1回50分(うち持続的なこぎ45分)の自転車こぎを、どちらも週3回行いました。最大酸素摂取量はどちらのグループも19%上がりました。かけた時間は約5分の1です。
脂肪の減り方は持続的な運動と同程度か、やや大きい
| 研究 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| Wewege ほか 2017 | 過体重・肥満の成人、13件 | 脂肪量・腹囲の減り方に差なし。HIITは練習時間が約40%短い |
| Viana ほか 2019 | 36件のメタ分析 | 体脂肪率はどちらも約1.5ポイント減で差なし。脂肪の重さはインターバルのほうが28.5%大きく減った |
体脂肪率で見ると、持続的な運動との差は出ていません。短い時間で同程度か、やや大きい効果を得る手段と捉えてください。
アフターバーン効果はどれくらいありますか
運動後もしばらく酸素の消費が高い状態が続きます。この上乗せ分をEPOC(運動後過剰酸素消費)と呼び、「アフターバーン効果」として紹介されることがあります。
研究をまとめた総説によると、長く続く条件の運動でも、EPOCは運動中に使った酸素の6〜15%にとどまりました。ただし休息をはさむ運動では休息中の分が測られておらず、もう少し大きい可能性があると総説は断っています。仮に運動中の消費が200kcalで6〜15%なら、上乗せは12〜30kcal程度という計算です。総説は、体重を保つ効果の大半は運動中の消費が担うと結論づけています。
厚生労働省のガイドは、体脂肪1kgを減らすのに約7,000kcalが要るとしています。アフターバーンを当てにして食事を変えずにいると、期待した結果は出にくいのが実情です。
初心者はどんな種目・時間・頻度で始めればいいですか
種目
本記事で紹介した研究のうち、タバタ式とGillenらの研究は自転車を使っています。初心者には、自転車・ローイングマシン・スキーエルゴのように、きつくなったらすぐ強度を落とせる種目が向いています。器具がなければ、自重のスクワットやバーピーでも組めます。
段階的な組み方(本サイトの提案)
| 段階 | 運動と休息 | 本数 | 次へ進む目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 30秒きつく・90秒楽に | 4〜6本 | 全本数をフォームを崩さず終えられる |
| 2 | 30秒きつく・60秒楽に | 6〜8本 | 2回続けて全本数をこなせる |
| 3 | 20秒きつく・10秒休む | 8本(計4分) | この表の到達目標 |
どの段階も、前後に5〜10分の軽い運動を入れます。「きつく」の目安は、話そうとしても短い言葉しか出ない程度です。この目安と本数・秒数は本サイトの提案で、研究で決まった基準ではありません。
頻度
体組成のメタ分析(Wewege ほか)に入った研究は、平均で週3回・10週間の組み方でした。本サイトは、初心者は週1〜2回から始め、HIITの日を連続させない形を勧めます。他の練習との配分は週2・週3・週4別のハイロックス練習メニュー例が参考になります。
ハイロックスではどこで効きますか
ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと8種目を交互に行うフィットネスレースです。第三者集計では男性の平均完走タイムが約1時間35分で、HIITとは長さがまったく違います。
種目別の平均所要時間(第三者集計)では、ウォールボールが7分28秒、バーピーブロードジャンプが6分8秒と長い種目です。息が上がった状態で動作を保つ時間が長いため、本サイトは、HIITで心拍が高い状態に慣れておくことがこの土台づくりに役立つと考えます。
マシンでHIITを行うなら、本番と同じスキーエルゴやローイングを使うと動作の練習も兼ねられます。ただしこの2種目は、選手間のタイム差が8種目の中で最も小さいとされています。HIITは補助と位置づけ、レース全体の準備はハイロックスのトレーニング完全ガイドを軸に組んでください。
HIITの注意点・向かない人・限界は?
持病がある人。 HIITは高強度の運動に分類されます。心臓病や高血圧などを指摘されたことがある人は、始める前に医師に相談してください。
関節に痛みがある人。 ジャンプを含む自重種目は避け、着地の衝撃がない自転車やローイングマシンを選びます。痛みが出たらその日は中止します。
すでに鍛えている人。 低ボリュームのHIITを調べたメタ分析では、運動習慣のない人ほど伸びが大きく、競技者の男性では効果がはっきりしませんでした。同じ分析で、持続的な運動との差もはっきりしませんでした(−1.6%)。伸びが止まったら、強度ではなく練習全体を見直す段階です。
長いレースの準備はHIITだけでは足りません。 本記事で取り上げた研究は4〜12週間ほどの短い期間が中心で、比べているのも最大酸素摂取量や体脂肪です。初出場ならおおむね1時間半以上動き続ける力や、重い物を扱う筋力は別の練習で作ります。筋力と持久力の両立はハイブリッドトレーニングで扱っています。
よくある質問
Q1: HIITとタバタ式は同じものですか?
A: タバタ式はHIITの一つの方法です。HIITには、20秒全力を2分の軽い運動を挟んで3本行うような組み方も含まれます。狭い分類では、タバタ式はスプリントインターバル(SIT)に入ります。
Q2: HIITは毎日やってもいいですか?
A: 勧めません。研究では週3回の組み方が多く、本サイトは初心者には週1〜2回から始める形を勧めます。疲れが残ったまま続けると、強度を出せず動作も崩れます。
Q3: 4分だけで効果はありますか?
A: 運動習慣のある女性が20秒運動・10秒休憩×8本の自重インターバル(バーピーなど1種目)を週4日・4週間続け、最大酸素摂取量が約8%上がった研究があります。30分のトレッドミル走のグループも約7%上がりました。各群7人の小さな研究です。
Q4: HIITと有酸素運動はどちらが痩せますか?
A: メタ分析では、体脂肪率の減り方に差は見られていません。脂肪の重さはHIITのほうがやや大きく減ったという分析もあり、同程度か、やや大きいというのが現状です。続けやすいほうを選び、食事の見直しと組み合わせてください。
Q5: 自宅でもHIITはできますか?
A: できます。スクワットやバーピーなどの自重種目で組めます。器具なしの練習は自宅だけでハイロックスに備えるトレーニングでも扱っています。
Q6: ハイロックスの練習はHIITだけで足りますか?
A: 足りません。初出場ならおおむね1時間半以上かかり、合計8kmを走ります。ランの練習とペース配分はハイロックスのラン強化とペース配分戦略を参照してください。
まとめ
HIITは、きつい運動と休息を繰り返すトレーニングの総称で、タバタ式はその一例です。メタ分析では、持続的な運動より心肺機能がやや大きく伸び、脂肪の減り方は同程度か、やや大きいという結果です。アフターバーンの上乗せは持続的な運動の研究で6〜15%程度で、インターバルでも主役になるほど大きいという根拠はありません。
初心者は30秒・90秒の組み方を4〜6本、週1〜2回から始め、20秒・10秒×8本を到達目標にしてください。ハイロックスでは土台づくりに役立ちますが、練習の中心にはなりません。全体の組み立てはハイロックスのトレーニング完全ガイドで確認してください。
※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。
※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載の時間・本数・頻度は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。
※本記事は次の資料に基づきます。平均完走タイムと種目別の所要時間は HyroxDataLab による公開リザルトの第三者集計で、HYROX公式が発表した数値ではありません。
- タバタ式の原著: Tabata ほか(1996)
- HIITとスプリントインターバルの分類: MacInnis・Gibala(2017)
- 最大酸素摂取量のメタ分析: Milanović ほか(2015)
- 低ボリュームHIITのメタ分析: Weston ほか(2014)
- 12週間のスプリントインターバル: Gillen ほか(2016)
- 4分インターバル: Helgerud ほか(2007)
- 自重のインターバル: McRae ほか(2012)
- 体組成のメタ分析: Wewege ほか(2017) / Viana ほか(2019)
- 運動後過剰酸素消費: LaForgia ほか(2006)
- 体脂肪1kgのエネルギー量: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 平均完走タイム: HyroxDataLab: What is a Good HYROX Time
- 種目別の所要時間: HyroxDataLab: Average HYROX Station Times
