心肺機能を高めるトレーニング|初心者の強度・時間・頻度と家でできる4週間の進め方を公的指針から解説

心肺機能を高めるトレーニング|初心者の強度・時間・頻度と家でできる4週間の進め方を公的指針から解説

最終更新: 2026年10月29日

心肺機能(全身持久力)を高めるには、「ややきつい」と感じる強さの有酸素運動を1回30分、週3回以上続けるのが、厚生労働省のガイドが示す目安です。初心者は会話はできるが歌えない程度の強さで、1回10分から始め、4週間ほどかけて30分へ延ばすのが本サイトの勧め方です。早歩きや踏み台を使ったステップ運動なら、家の中や近所でも行えます。

この記事の要点

  1. 心肺機能は、取り込んだ酸素を筋肉へ運んで使う力です。厚生労働省は、最高酸素摂取量をもとに性・年代別の基準値を示しています
  2. 強さは「会話はできるが歌えない」が中強度の目安です。量は、厚生労働省が全身持久力の向上に1回30分・週3回以上、WHOが週150〜300分の中強度を勧めています
  3. 週3回・45分の自転車運動を続けた小さな研究では、3週間で最大酸素摂取量が上がり始めました(本記事の進め方より量が多い条件です)
この記事の内容

心肺機能とは何ですか?どうやって測りますか?

心肺機能とは、肺で取り込んだ酸素を心臓が血液に乗せて筋肉へ運び、筋肉がそれを使ってエネルギーを作る力のことです。厚生労働省のガイドは「全身持久力」と呼び、体重1kgあたりの最高酸素摂取量を指標にしています。

全身持久力が高い人ほど、病気や死亡のリスクが低い関係が報告されています。ガイドが紹介するメタ解析では、全身持久力が1メッツ高いごとに、総死亡などの相対危険度が10〜20%ほど低いという結果でした。

ガイドが示す性・年代別の基準値は次のとおりです。メッツは、安静に座っている状態の何倍のエネルギーを使うかを表す強さの単位です。

年代男性女性
20〜29歳12.5メッツ9.5メッツ
30〜39歳11.0メッツ8.5メッツ
40〜49歳10.0メッツ7.5メッツ
50〜59歳9.0メッツ7.0メッツ
60〜69歳8.0メッツ6.5メッツ
70〜79歳7.5メッツ6.0メッツ

表の強さの運動を約3分間続けられれば、基準を満たす目安です。ジョギングは7.0メッツなので、50代女性ならジョギングを3分続けられるかが目安になります。ガイドは、20mシャトルランや6分間歩行、ウェアラブル端末による推定方法も挙げています。

この指標(VO2max・最大酸素摂取量)の意味、日本人の年代別の平均値、スマートウォッチの推定値がどこまで当てになるかは、VO2maxとは?で詳しく扱っています。

どれくらいの強さでやればいいですか?

厚生労働省のガイドは、全身持久力を伸ばす強さを最高酸素摂取量の50〜75%程度、主観的には「ややきつい」程度としています。ふだんは酸素摂取量を測れないので、次の目安で強さを合わせます。

目安中強度高強度
会話(トークテスト)話せるが、歌えない数語ごとに息継ぎが要る
0〜10で表したきつさ5〜67〜8から
メッツ3〜5.96以上

初心者は中強度から始めます。「会話はできるが歌えない」を基準にすれば、器具なしで強さを合わせられます。走って強さを合わせる方法はジョギングのペースの目安で扱っています。

心拍数は補助として使います。高血圧の薬の一部(β遮断薬など)は心拍数に影響します。飲んでいる人は心拍数ではなく、きつさの感覚で判断するよう厚生労働省のガイドは勧めています。

週に何分・何回やればいいですか?

公的な指針の数字を並べると、次のようになります。

指針推奨
厚生労働省(全身持久力の向上)中〜高強度で1回30分、週3回以上
厚生労働省(成人)息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上。筋トレを週2〜3日
WHO(18〜64歳)中強度を週150〜300分、または高強度を週75〜150分。筋トレを週2日以上

本記事が目標にするのは、全身持久力の項目にある1回30分・週3回です。これは週90分で、WHOの下限の週150分には届きません。30分・週3回に慣れたら、回数か時間を増やして週150分を次の目標にしてください。10分ずつ分けてよいか、毎日やってよいかは有酸素運動の時間の目安で扱っています。

最初から目標の量を満たす必要はありません。厚生労働省は「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことを基本にしています。WHOも、少ない量から始めて、頻度・強さ・時間を少しずつ増やすよう勧めています。

家でできる心肺機能トレーニングは何ですか?

器具がなくても、強さを調整しやすい種目があります。メッツは2024年版の身体活動の一覧(Compendium)の値です。

種目メッツ強さを上げる方法
早歩き(時速5.6〜6.3km)4.8速度を上げる、坂道を入れる
踏み台を使ったステップ運動(台の高さ約10cm)5.5台を高くする
同(台の高さ約15〜20cm)7.3テンポを上げる
階段を上る(一般的な速さ)6.8段数を増やす
自重の運動・きつい強度(バーピーなど)7.5休憩を短くする

ステップ運動の値は、踏み台を使ったエアロビクスの数字です。表の数字より、会話の目安で強さを合わせてください。

踏み台は、滑らず安定した台を使います。階段の1段目で代用するなら、手すりのそばで行ってください。自重の種目を続けて回す方法はサーキットトレーニングとは?、器具なしでハイロックスに備える組み方は自宅だけでハイロックスに備えるトレーニングで扱っています。

初心者は4週間でどう進めればいいですか?

下の表は、公的な指針の数字をもとに本サイトがまとめた進め方の例です。研究で決まった基準ではありません。

週1回の時間回数強さ
110〜15分週3回会話はできるが歌えない(きつければ少し落とす)
215〜20分週3回会話はできるが歌えない
320〜25分週3回同上
430分週3回同上(ややきつい)

本サイトは、強さは変えず、時間を先に延ばす順番を勧めます。前後には軽いウォームアップと、5〜10分のクールダウンを入れます。

次の週へ進むかは翌日の体調で決めます。厚生労働省のガイドは、翌日の日常生活に支障が出る疲れは、強さや量が多すぎるサインとしています。その場合は休養を取り、次は1つ前の週の時間に戻してください(本サイトの勧め方)。

30分・週3回ができたら、回数を増やして週150分に近づけます。週1回をきつい練習に変える方法は、インターバルトレーニングのやり方やHIITとは?で紹介しています。

どれくらいで変化が出ますか?

若い男性8人と高齢男性8人が、週3回・1回45分、最大酸素摂取量の約70%で自転車をこいだ研究があります。最大酸素摂取量は3週間で上がり始め、12週間後には若い人で18%、高齢の人で31%上がりました。対照群のない小さな研究です。

本記事の進め方より量が多い条件で、測っているのは最大酸素摂取量です。息切れの感じ方を測ったものではなく、伸び方には個人差があります。

ハイロックスではどこで効きますか?

ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと種目1つを交互に8回繰り返すフィットネスレースで、ランは合計8kmです。オープン部門のシングルでは、平均完走タイムは男性で約1時間35分、女性で約1時間50分です(HyroxDataLab の70万件超の集計、2026年3月時点)。

「30分を続けられる」状態は、この長いレースの入口にあたります。ウォールボールやバーピーブロードジャンプのように、息が上がった状態で動作を続ける時間が長い種目もあるため、心肺の土台はラン以外の場面でも使われます。

心肺の土台ができたら、ランの組み立てはハイロックスのラン強化とペース配分戦略が参考になります。練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイドを軸に組んでください。

心肺機能トレーニングの注意点・向かない人・限界は?

持病がある人・長く運動していない人。 厚生労働省のガイドは、運動に不慣れな人が急に普段以上の運動をすると、体の不調や事故が起きるリスクが高いとしています。心臓病や高血圧を医師に指摘されたことがある人、胸の痛みを感じることがある人は、始める前に医師に相談してください。

運動中に異変を感じた場合。 胸の痛み、動悸、めまいやふらつき、冷や汗、いつもと違う強い疲れ、関節や筋肉の強い痛みがあれば、直ちに運動を中止します。症状が治まらないときは医療機関を受診してください。発熱や睡眠不足、二日酔いなどで体調が悪い日は休みます。

膝や腰に痛みがある人。 運動で悪化する問題がある場合、ガイドは医師に相談したうえで、低い強度・短い時間から始めるよう勧めています。ステップ運動で痛む場合は、早歩きなど負担の少ない種目に替えます。

指針と研究の限界。 基準値は健康づくりの目安で、競技の目標ではありません。

よくある質問

Q1: 毎日やってもいいですか?

A: 早歩き程度なら毎日でも構いません。厚生労働省は、歩行以上の強さの身体活動を1日60分以上勧めています。「ややきつい」運動は週3回から始め、翌日に疲れが残らないか確かめてください。

Q2: ウォーキングだけで心肺機能は上がりますか?

A: 上げられます。厚生労働省のガイドは、全身持久力を高めるには歩行・ランニング・水泳などの有酸素運動を習慣にするのが有効としています。早歩きは4.8メッツの中強度です。慣れて楽になったら、速度を上げるか坂道を入れて「ややきつい」を保ってください。坂道(傾斜1〜5%)の早歩きは5.3メッツです。

Q3: 筋トレも必要ですか?

A: 厚生労働省は筋トレを週2〜3日、WHOは週2日以上勧めています。心肺の運動とは別に組み込んでください。器具を使う始め方はダンベルトレーニングの初心者メニューで扱っています。

Q4: HIITのほうが効率がいいですか?

A: メタ分析では、HIITは持続的な運動より最大酸素摂取量の伸びがやや大きい結果でした。ただし強度が高いため、本サイトは30分を続けられる土台を作ってから加える順番を勧めます。詳しくはHIITとは?をご覧ください。Q5: 踏み台の高さはどれくらいがいいですか?

A: 身体活動の一覧(2024年版)では、台の高さ約10cmのステップ運動が5.5メッツ、約15〜20cmが7.3メッツです。最初は低い台で会話の目安を確かめ、楽になったら台を高くするかテンポを上げてください。

まとめ

心肺機能は、取り込んだ酸素を筋肉へ運んで使う力です。厚生労働省は、「ややきつい」強さで1回30分・週3回以上の運動を全身持久力の向上に勧めています。強さは「会話はできるが歌えない」で合わせられ、早歩きやステップ運動なら家でも行えます。

初心者は1回10〜15分から始め、4週間かけて30分へ延ばしてください。ハイロックスに向けた練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイド、自宅での組み方は自宅だけでハイロックスに備えるトレーニングで確認できます。


※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。

※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載の時間・回数・頻度は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。

※本記事は次の資料に基づきます。4週間の進め方は、これらをもとに本サイトがまとめた例です。平均完走タイムは HyroxDataLab による公開リザルトの第三者集計で、HYROX公式が発表した数値ではありません。

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