最終更新: 2026年10月14日
ジョギングのペースは、1km何分と一律に決まるものではありません。息は弾んでも、文章で会話を続けられる速さが目安です。厚生労働省の表では、ジョギング(7.0メッツ)は1km約7分28秒のランニング(8.3メッツ)より低い強度に置かれています。研究では、楽に話せなくなる強さが、呼吸が急に荒くなる境目(換気性作業閾値)とほぼ一致しました。
この記事の要点
- ジョギングの速さに公的な決まりはありません。自分のペースは「会話できるか」で決め、その速さを時計で測ります
- きつさは「楽である〜ややきつい」が目安です。文章の途中で息継ぎが要るなら速すぎます
- 初心者は1回30分・週3回を目標に、歩きを挟みながら始めます。走る距離は急に増やしません
ジョギングとランニングは何が違いますか?
速さで分ける公的な基準はありません。厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」の表では、ランニングには分速134mなどの速さが書かれています。一方で、ジョギングには速さが書かれていません。
| 表の項目 | 強度(メッツ) |
|---|---|
| ゆっくりとしたジョギング | 6.0 |
| ジョギング | 7.0 |
| ランニング(分速134m=1km約7分28秒) | 8.3 |
| ランニング(分速161m=1km約6分13秒) | 9.8 |
1kmあたりの時間は、本サイトが分速から計算した値です。メッツは、安静にしている状態の何倍のエネルギーを使うかを表す数字です。
本記事では、ジョギングを「会話を続けられる強さで走ること」として扱います。
自分に合うジョギングペースはどう決めますか?
会話で決める(トークテスト)
いちばん手軽なのは、走りながら声を出す方法です。米国疾病予防管理センター(CDC)の目安は、下の「速すぎ・遅すぎ」の表にまとめています。
研究でも裏づけがあります。適度に運動している健康な16人(男性10人・女性6人)が、少しずつ負荷が上がるトレッドミルと自転車で、31語の決まった文章を声に出して言いました。楽に話せなくなり始めた強さは、換気性作業閾値とほぼ同じでした。楽に話せないと答えた段階では、いつもその境目を超えていました。まだ楽に話せた最後の段階は、トレッドミルで最大心拍数の82%でした。
きつさの数字で確かめる
主観的運動強度(ボルグスケール)は、きつさを6〜20の数字で表す方法です。11が「楽である」、13が「ややきつい」、15が「きつい」にあたります。
厚生労働省のガイドは、全身持久力を伸ばす運動のきつさを「ややきつい」程度としています。本サイトは、ジョギングは11〜13の範囲に収めることを勧めます。
心拍数で確かめる
心拍計があれば、数字でも確かめられます。最大心拍数は「208−0.7×年齢」で推定できます。40歳なら推定180拍です。
インターバル走の研究で「ゆっくり長く走る」組は、最大心拍数の70%で走っていました。40歳なら約126拍です。ただし推定式には個人差があり、実際の最大心拍数とずれます。心拍数は会話ときつさの感覚と合わせて使ってください。
1kmあたり何分?時速との換算表は?
会話で決めた速さを、GPS付きの時計やトレッドミルで測れば、それが今のジョギングペースです。1kmあたりの分数は「60÷時速」で計算できます。
| 時速 | 1kmあたり | 30分で進む距離 |
|---|---|---|
| 6km | 10分00秒 | 3.0km |
| 7km | 8分34秒 | 3.5km |
| 8km | 7分30秒 | 4.0km |
| 9km | 6分40秒 | 4.5km |
| 10km | 6分00秒 | 5.0km |
| 11km | 5分27秒 | 5.5km |
| 12km | 5分00秒 | 6.0km |
この表は計算で出した換算で、どの行が「初心者の正解」というものではありません。会話できる速さが時速6kmなら、それがその人のジョギングペースです。
速すぎ・遅すぎはどう見分けますか?
走っている最中と、走った翌日の2つで確かめます。
| サイン | 判断 | 根拠 |
|---|---|---|
| 歌えるほど余裕がある | 上げてもよい | CDC:中くらいの強さは歌えない |
| 文章で会話を続けられる | ちょうどよい | トークテストの研究 |
| 数語ごとに息継ぎが要る | 速すぎ | CDC:激しい運動の目安 |
| 翌日の生活に支障が出る疲れ | 強度か量が多すぎ | 厚生労働省のガイド |
走りながら気づかないうちに速くなっていないかを、ときどき声を出して確かめてください。本サイトは、最初の数分を歩くくらいの速さで入り、会話の余裕を確かめてから速さを決める順番を勧めます。
初心者は何分・週何回から始めればいいですか?
厚生労働省のガイドの数字を、ジョギングに当てはめると次のようになります。強さと頻度の考え方は心肺機能を高めるトレーニングで詳しく扱っています。
| 目標 | 中身 | ジョギングでの目安 |
|---|---|---|
| 成人の推奨 | 息が弾む運動を週60分以上(週4メッツ・時) | ゆっくりとしたジョギングなら週40分で届く |
| 全身持久力を伸ばす | 1回30分・週3回以上 | 30分×3回 |
週40分は「6.0メッツ×40分=4メッツ・時」から本サイトが計算した値です。30分を続けて走れないうちは、歩きとジョギングを交互にして合計30分にしてください。
走る量の増やし方にも注意が要ります。走り始めの初心者874人を1年追った研究では、2週間で距離を30%超増やした人に、けがが多い傾向がありました。統計的にははっきりしない探索的な結果ですが、2週間で距離を30%超増やすのは避けたほうが無難です。最初の数週間の進め方と、次の段階へ進むかの判断はランニング初心者は何から始める?にまとめています。
ハイロックスではどこで効きますか?
ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと8種目を交互に8回繰り返すフィットネスレースです。ランは合計8kmで、まず8kmを走り切る土台が要ります。その土台をつくるのが、ふだんのゆっくり走る日です。
持久系の一流選手の練習は、約80%が低い強度、約20%が高い強度でした(週10〜13回練習する選手の数字です)。本サイトはこの考え方を当てはめ、週の大半をジョギングにし、きつい練習は週1〜2回にとどめることを勧めます。
レースのペースと、ふだんのジョギングのペースは別物です。本番の1本目の抑え方はハイロックスのラン強化とペース配分戦略にあります。きつい日の組み方はインターバルトレーニングのやり方、練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイドにあります。
ジョギングのペースの注意点・向かない人・限界は?
持病がある人・薬を飲んでいる人。 厚生労働省のガイドは、一部の降圧薬は心拍数に影響すると注意しています。その場合、心拍数は強度の目安にならないため、きつさの感覚を使います。持病がある人は、走り始める前に医師に相談してください。
痛みや体調の異変があるとき。 胸の痛み、動悸、めまいやふらつき、冷や汗があれば、すぐに中止します(厚生労働省のガイド)。すねやひざが痛む日も無理に走らないでください。
研究の限界。 トークテストの研究は、健康な16人を実験室で調べたものです。坂道や暑い日の屋外では、同じペースでもきつさが変わることもあります。ペースは日によって変わる前提で、会話ときつさの感覚を優先してください。
よくある質問
Q1: ジョギングは1km何分が普通ですか?
A: 決まった数字はありません。会話を続けられる速さを測り、換算表で分数にしてください。
Q2: 心拍計がなくてもペースは決められますか?
A: 決められます。会話できるか、きつさが「楽である〜ややきつい」に収まっているかの2つで十分です。
Q3: 毎日ジョギングしてもいいですか?
A: まずは1回30分・週3回を目標にしてください。回数を増やすときは、翌日の生活に支障が出る疲れがないかを確かめます。距離を急に増やした人には、はっきりしないものの、けがが多い傾向を示した研究があります。
Q4: トレッドミルではどう設定すればいいですか?
A: 会話できる速さを探してから、その時速を換算表で1kmあたりの分数にします。
Q5: ダイエット目的なら、どれくらい走ればいいですか?
A: 消費エネルギーは「メッツ×時間×体重」で計算できます。体重60kgの人がゆっくりとしたジョギング(6.0メッツ)を30分走ると、約180kcalです。体脂肪1kgは約7,000kcalにあたり、7,000kcal÷180kcalで約39回分です。そのため、食事の見直しと組み合わせます。
まとめ
ジョギングのペースは会話を続けられる強さで決め、その速さを時計で測って換算表で1kmあたりの分数を確かめます。
初心者は歩きを挟みながら1回30分・週3回を目標にし、距離は少しずつ増やします。ハイロックスに向けた練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイドで確認できます。レース本番のペースはハイロックスのラン強化とペース配分戦略、週ごとの配分はハイロックス完走のための8週間トレーニングプランにあります。
※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。
※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載のペース・時間・回数は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。
※本記事は次の資料に基づきます。1kmあたりの分数と時速の換算、週40分・約180kcalの例は本サイトの計算です。
- ジョギング・ランニングのメッツ値、運動の推奨量、きつさの目安、降圧薬と心拍数、翌日の疲れ、運動を中止するサイン: 厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
- 消費エネルギーの計算式、体脂肪1kgのエネルギー: 厚生労働省 身体活動・運動ガイド2023
- 話せるが歌えない・数語で息継ぎ(トークテストの目安): CDC: Measuring Physical Activity Intensity
- トークテストと換気性作業閾値: Persinger ほか(2004)
- ボルグスケールの言葉: 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「運動強度」
- 最大心拍数の推定式: Tanaka ほか(2001)01054-8)
- ゆっくり長く走る組の強さ(最大心拍数の70%): Helgerud ほか(2007)
- 練習の強度の配分: Seiler(2010)
- 走る距離の増やし方とけが: Nielsen ほか(2014)
