最終更新: 2026年10月28日
ふくらはぎの筋トレの基本は、かかとを上げ下げするカーフレイズです。ふくらはぎは腓腹筋とヒラメ筋でできています。鍛えるなら、膝を伸ばして立って行う形が基本です。12週間の研究では、立って行った脚の腓腹筋が9〜12%増え、座って行った脚の腓腹筋はほとんど増えませんでした。回数は8〜12回で限界になる負荷を1〜3セット、週2〜3日が目安です。
この記事の要点
- 膝を伸ばすと腓腹筋とヒラメ筋の両方が増え、膝を曲げると腓腹筋はほとんど増えませんでした。ヒラメ筋の増え方には、立つ・座るで差がありませんでした
- 健康な成人は片脚のかかと上げを平均45回前後続けられました。両脚の自重では軽くなりがちなので、片脚・段差・ダンベルで負荷を足します
- ハイロックスでは、8kmのランで体を支える場面と、スレッドプッシュで地面を押す場面で使われます
ふくらはぎはどの筋肉で、何をしていますか?
ふくらはぎの筋肉は、まとめて下腿三頭筋と呼びます。表側の腓腹筋(内側頭・外側頭)と、その奥のヒラメ筋の3つです。足首を伸ばす(かかとを上げる)主な筋肉で、歩く・走る・跳ぶ動きを支えます。
| 筋肉 | 位置 | 膝の角度との関係 |
|---|---|---|
| 腓腹筋(内側頭・外側頭) | 表側のふくらみ | 膝をまたぐため、膝を曲げると縮んだ状態になる |
| ヒラメ筋 | 腓腹筋の奥 | 膝を伸ばしても曲げても、同じくらい増えた(次の節) |
腓腹筋は膝もまたぐ筋肉です。この違いが、立って行うか座って行うかの選び方につながります。
膝を伸ばす・曲げるで、効く筋肉は変わりますか?
変わりますが、「膝を曲げればヒラメ筋に効く」とは言い切れません。
健康な成人48人が、膝を伸ばした状態と45度曲げた状態で片脚のかかと上げを行った研究があります。膝を曲げると、ヒラメ筋の筋活動はわずかに大きく、腓腹筋はわずかに小さくなりました(抄録ではそれぞれ約4%と約5%の差)。著者は、この差は小さいとしています。
運動習慣のない若い成人14人が、片脚は立って、もう片脚は座って(膝を90度)カーフレイズを12週間続けた研究があります。筋肉の量はMRIで測りました。
| 筋肉 | 立って行った脚 | 座って行った脚 |
|---|---|---|
| 腓腹筋(外側頭) | +12.4% | +1.7% |
| 腓腹筋(内側頭) | +9.2% | +0.6% |
| ヒラメ筋 | +2.1% | +2.9%(脚の間に差なし) |
| 下腿三頭筋の全体 | +5.6% | +2.1% |
座る形でも、ヒラメ筋が多く増えたわけではありません。本サイトは、立って膝を伸ばす形を基本にし、座る形は立って行えないときの選択肢と考えます。
自宅・ダンベル・ジムのマシンでは、どう鍛えますか?
上から順に負荷が大きくなります。自宅なら両脚から始め、楽になったら次の段に進みます。
| 種目 | やり方 | 場所 |
|---|---|---|
| 両脚カーフレイズ | 壁に手を添えて立ち、膝を伸ばしたままかかとを上げ下げする | 自宅 |
| 片脚カーフレイズ | 片足で同じ動きをする。もう片方の足は床から浮かせる | 自宅 |
| 段差カーフレイズ | 階段の段につま先を乗せ、かかとを段より下まで下ろしてから上げる | 自宅 |
| ダンベルカーフレイズ | 片手にダンベルを持ち、もう片手で壁や手すりを支える | 自宅・ジム |
| スタンディングカーフレイズ | 肩にパッドを当て、膝を伸ばして重りを上げる | ジムのマシン |
| シーテッドカーフレイズ | 座って膝の上にパッドを乗せ、膝を約90度に曲げて行う | ジムのマシン |
やり方の共通点は次の通りです。
- 2秒かけてかかとを上げ、2秒かけて下ろします。上の12週間の研究で使われた速さです
- 下ろすときは、かかとを床(段差なら段より下)まで下ろします
- 足の幅やつま先の向きは、ふらつかない自然な位置で構いません(本サイトの提案)
段差を使うと、床より深くかかとを下ろせます。動かす範囲を広げたいときの工夫です。段差と片脚はふらつきやすいので、手すりや壁につかまって行ってください(本サイトの提案)。
回数とセット、頻度の目安は?
米国スポーツ医学会(ACSM)の初心者向け指針は、8〜12回で限界になる重さを1〜3セット、週2〜3日としています。休憩は1〜2分です。
| 目的 | 負荷 | 回数・セット | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 初心者の筋力と筋肉(ACSM) | 8〜12回で限界になる重さ | 1〜3セット | 週2〜3日 |
| 研究で腓腹筋が増えた例 | 1回だけ上げられる重さの70% | 10回×5セット | 週2日・12週間 |
| 自宅の自重(厚生労働省) | 自重 | できなくなるところまで | — |
健康な成人48人が片脚のかかと上げを限界まで続けた研究では、平均は45回前後でした。両脚の自重で10回×3セットは、多くの人には軽い負荷です(本サイトの見立て)。8〜12回で限界になる負荷に近づけることが目安です。片脚でも楽に続けられるなら、ダンベルを持って8〜12回で限界になる重さに近づけます(本サイトの提案)。息は止めずに行います。
太くならない?「意味ない」と言われるのは本当?
意味がないという根拠は見当たりません。前の節の12週間の研究で、立って行った脚の腓腹筋は増えています。一方で著者は、下腿三頭筋は筋トレで大きくなりにくい筋肉だとしています。
「意味ない」と感じる理由として、本サイトは2つを考えます。1つは自重の両脚で負荷が軽すぎること、もう1つは座る形だけで行い、腓腹筋がほとんど増えないことです。
太くなるかについては、筋肉は増えます。ただし、かなり重い負荷で12週間続けても、下腿三頭筋の全体は5.6%の増加でした。見た目の太さ(周囲の長さ)を測った結果ではありません。見た目がどれだけ変わるかは、本サイトが確認した研究からは言えません。
ハイロックスではどこで効きますか?
ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと8種目を交互に行うレースで、ランは合計8kmです。
ランで体を支える。 9人の走りを、ゆっくりから全力疾走まで調べた研究があります。秒速7m未満では、体を上へ支える力を最も多く出したのはヒラメ筋と腓腹筋でした。調べた最も遅い速さは秒速3.5m(1km約4分46秒、本サイトの換算)で、それより遅いペースは調べていません。かかと以外で着地すると、ふくらはぎの負担は増えます。着地の考え方はランニングフォームの基本にあります。
スレッドプッシュで地面を押す。 2種目めのスレッドプッシュでは、そりを押して合計50mを進みます。重量はそり本体を含めた総重量で(ルールブック26/27シーズン版)、女子オープン102kg、男子オープンと女子プロ152kg、男子プロ202kgです。鍛えた男性10人の研究では、重りを載せたそりを押す運動は、腓腹筋の筋活動がバックスクワットより61.2%大きくなりました。この研究のそりや重さは、ハイロックスと同じとは限りません。
カーフレイズは、そりを押す練習やランの代わりにはなりません。押し方はSled Push(スレッドプッシュ)攻略にあります。ランの組み立てはハイロックスのラン強化とペース配分戦略、練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイドで扱っています。
注意点・向かない人・限界は?
痛みがある人。 アキレス腱やふくらはぎに痛みや強い張りがあるときは、その日は中止してください。痛みが続くなら、医師に相談してください。けがの後や持病がある場合も、始める前に相談します。
段差と片脚は転びやすい。 段から足を踏み外さないよう、手すりや壁につかまって行ってください。
研究の限界。 12週間の研究は14人で、練習しない比較群がありません。筋力やランの速さは測っていません。筋活動の大きさは、筋肉の増え方とは別のものです。膝の角度とそりの研究は、筋活動を測っただけです。
よくある質問
Q1: 立ってやるのと座ってやるのは、どちらがいいですか?
A: 立って膝を伸ばす形を勧めます。12週間の研究で腓腹筋が増えたのは立って行った脚で、ヒラメ筋の増え方には、立つ・座るで差がありませんでした。
Q2: 毎日やってもいいですか?
A: 初心者は週2〜3日が目安です。上の研究も、連続しない日に週2日行いました。筋肉痛が残る日の考え方は筋肉痛の回復は何日?にあります。
Q3: 自重のカーフレイズだけで効果はありますか?
A: 自重でも、続けられなくなるところまで行えば負荷になります。両脚で軽いときは、片脚や段差で負荷を足してください。
Q4: むくみ対策になりますか?
A: ふくらはぎの筋トレでむくみが減るかを調べた研究は、本サイトは確認できていません。むくみが続く、痛みを伴うといった場合は医師に相談してください。
Q5: 途中でふくらはぎがつりました。続けていいですか?
A: その日は中止してください。つる原因はさまざまで、本サイトは言い切れません。繰り返す場合は医師に相談してください。
まとめ
ふくらはぎは、膝を伸ばして立って行うカーフレイズを基本に鍛えます。2秒で上げて2秒で下ろし、8〜12回で限界になる負荷を1〜3セット、週2〜3日が目安です。自重の両脚で軽ければ、片脚・段差・ダンベルで負荷を足します。ハイロックスに向けた練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイド、そりの押し方はSled Push攻略で確認してください。
※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。
※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載の回数・セット数は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。
※本記事は次の資料に基づきます。秒速から1kmあたりの時間への換算は本サイトの計算です。負荷の見立てと、段差・片脚・ダンベルへの進め方は、これらをもとに本サイトがまとめた提案です。
- 立って行う・座って行うカーフレイズの12週間の比較と速さ: Kinoshita ほか(2023)
- 膝の角度と筋活動: Hébert-Losier ほか(2012)膝の角度と筋活動
- 片脚のかかと上げを限界まで続けた回数: Hébert-Losier ほか(2012)膝の角度と疲労
- 回数・セット数・休憩・頻度: ACSM Position Stand: Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults(2009)
- 自宅の自重トレーニングの目安と呼吸: 厚生労働省「筋力トレーニングについて」(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)
- 走る速さと脚の筋肉の役割: Dorn ほか(2012)
- 着き方とふくらはぎの負担: Anderson ほか(2020)
- そりを押す運動とバックスクワットの筋活動: Maddigan ほか(2014)
- スレッドプッシュの距離と重量: HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27
