最終更新: 2026年10月20日
有酸素運動の時間は、1回の長さより週の合計で考えます。WHOの目安は中強度なら週150〜300分、高強度なら週75〜150分です。10分ずつなど短く分けて足し合わせても構いません。厚生労働省のガイドも「20分以上続けないと効果がない」という最短の時間はないとしています。1回10分からでも数えられ、早歩き程度なら毎日行えます。心肺機能は週3回の練習で3週間ほどから変わり始めた研究があります。
この記事の要点
- 時間の目安は週の合計で決まります。WHOは中強度で週150〜300分、厚生労働省は全身持久力を高めるなら1回30分・週3回以上を示しています
- 「20分以上続けないと効果がない」は厚生労働省のガイドが否定しています。分割と連続を比べたメタ分析でも、心肺機能や血圧の改善に差はありませんでした
- 心肺機能は週3回の練習で3週間ほどから変わり始めた研究があります。運動だけで目に見えて体重を減らすには、週250分を超える量が関連するとした学会の見解があります
有酸素運動は1回何分・週に何分やればいいですか?
公的な指針の数字を、目的ごとに並べると次のとおりです。中強度は「話せるが歌えない」程度の強さです。強さの合わせ方は心肺機能を高めるトレーニングで扱っています。
| 目的・対象 | 時間の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 成人の身体活動(歩行・家事・通勤を含む) | 1日60分以上(約8,000歩) | 厚生労働省 |
| 成人の運動(息が弾み汗をかく程度) | 週60分以上 | 厚生労働省 |
| 全身持久力を高める | 1回30分・週3回以上(ややきつい強さ) | 厚生労働省 |
| 成人(18〜64歳) | 中強度で週150〜300分、または高強度で週75〜150分 | WHO |
| 運動だけで目に見える減量(過体重・肥満の成人) | 週250分を超える量で関連 | 米国スポーツ医学会 |
| 高齢者の身体活動 | 1日40分以上(約6,000歩) | 厚生労働省 |
厚生労働省の「1日60分」は、歩く・家事をするといった生活の中の動きも含んだ身体活動の量です。運動だけで数えるなら、厚生労働省の目安は週60分です。WHOの週150〜300分は、通勤の早歩きや家事なども含めて中強度の活動を数えます。週150分は1日あたり約21分、週5日に分けると1日30分です。
WHOの数字では、高強度の75分が中強度の150分と同じ扱いです。きつい運動なら、必要な時間はおよそ半分になります。
「20分以上続けないと効果がない」は本当ですか?
この説は、公的な指針では支持されていません。厚生労働省のガイドは、「20分以上継続しなければ効果がない」といった最短の時間について、「ありません」と答えています。短い時間の積み重ねでも健康の効果は得られるという立場です。
WHOも2020年の指針で、身体活動を少なくとも10分続けて数えるという以前の条件を外しました。
なお、運動中の脂肪の使われ方は、運動の強さと時間で決まると報告されています(Achten・Jeukendrup、2004年)。ただし体脂肪の減り方は、1回の長さより週の合計量と食事で変わります。
分割と連続を直接比べた研究もあります。19件・1,080人のメタ分析(Murphy ほか、2019年)は、1日の運動を1回で行う場合と、同じ合計時間を数回に分ける場合を比べました。分割の多くは10分ずつでした。
| 指標 | 分割と連続の比較 |
|---|---|
| 心肺機能(最大酸素摂取量など) | 差なし |
| 血圧 | 差なし |
| 体重 | 分割のほうが平均0.92kg多く減った(5件) |
| LDLコレステロール | 分割のほうがやや多く下がった(2件) |
体重などで分割が有利だった結果は、研究の数が少ない点に注意が要ります。著者は、含めた研究はすべて偏りのリスクが高いと断っています。
有酸素運動は毎日やってもいいですか?
早歩きのような中強度の運動なら、毎日行って構いません。厚生労働省は、歩行以上の強さの身体活動を毎日60分以上行うことを勧めています。逆に毎日できなくても、週1回でも健康の効果があったという報告をガイドは紹介しています。高血圧のある人は、運動の直後に血圧が下がる効果がほぼ1日続くため、なるべく毎日行うよう勧められています。
「ややきつい」以上の運動は、翌日の体調で量を決めます。厚生労働省のガイドは、翌日の日常生活に支障が出る疲れは、強さや量が多すぎるサインとしています。その場合は休養を取り、次の回は強さか時間を控えめにしてください。
どれくらいの期間で効果が出ますか?
効果の出る時期は、何を測るかで変わります。
| 変化 | 研究・指針で示された時期 | 出典 |
|---|---|---|
| 最大酸素摂取量(心肺機能) | 週3回・45分の自転車運動で、3週間から上昇 | Murias ほか(2010) |
| 体重 | 週250分を超える量で臨床的に意味のある減量と関連(期間は示されていない) | 米国スポーツ医学会(2009) |
心肺機能の研究は、若い男性8人と高齢男性8人の小さな研究で、1回45分と、本記事の30分の目安より長い条件です。伸び方には個人差があります。進め方は心肺機能を高めるトレーニングで扱っています。
体重は、運動の時間だけでは決まりません。米国スポーツ医学会は、週150〜250分の運動はゆるやかな食事制限と組み合わせると減量を助けるとしています。
ハイロックスに向けて、週の時間をどう使えばいいですか?
ハイロックス(HYROX)では、1kmのランと種目1つを8回繰り返し、ランだけで合計8kmを走ります。第三者の集計(HyroxDataLab、70万件超、2026年3月時点)では、オープン部門シングルの平均完走タイムは男性で約1時間35分、女性で約1時間50分でした。
健康のための時間は、分けて足し合わせてよい量です。一方でレースは、1時間半から2時間近くを止まらずに動き続ける形式です。本サイトは、週の合計を健康の目安で確保したうえで、週1回は長めに続けて動く日を作る組み方を勧めます。
例えば週150分なら、30分を3回と60分を1回にすれば合計150分になります。30分の日は会話できる強さ、長い日は時間を延ばすことを優先します。レースに近い形の練習は、ランと種目をつなぐ日として別に組みます。
週の回数別の割り振りは週2・週3・週4別のハイロックス練習メニュー例、練習全体の考え方はハイロックスのトレーニング完全ガイドにまとめています。
有酸素運動の時間の注意点・向かない人・限界は?
持病がある人・長く運動していない人。 厚生労働省のガイドは、運動に不慣れな人が急に普段以上の運動をすると、体の不調や事故のリスクが高いとしています。心臓病や高血圧、糖尿病などで治療中の人は、時間や強さを決める前に医師に相談してください。
運動中に異変を感じた場合。 胸の痛み、動悸、めまい、冷や汗、いつもと違う強い疲れがあれば、すぐに運動を中止します。症状が治まらないときは医療機関を受診してください。
急に時間を延ばすこと。 走り始めたばかりの人は、走った時間あたりのけがが多いという研究があります。週の合計は一度に大きく増やさず、数週間かけて延ばします(本サイトの勧め方です)。走り始めの段階表はランニング初心者は何から始める?で扱っています。
指針の限界。 ここで挙げた時間は健康づくりや体重管理の目安で、競技の成績を上げるための処方ではありません。
よくある質問
Q1: 10分ずつ3回でも、30分続けたのと同じ効果がありますか?
A: 心肺機能と血圧については、分割と連続で差がなかったというメタ分析があります。厚生労働省のガイドも、短い時間の積み重ねで健康の効果が得られるとしています。通勤や休み時間の早歩きを足し合わせても構いません。
Q2: 筋トレの時間も数えてよいですか?
A: 指針によって違います。WHOの週150〜300分は有酸素運動の目安で、筋トレ(週2日以上)は別に数えます。厚生労働省は、週2〜3日の筋トレを週60分の運動に含めてよいとしています。
Q3: ウォーキングや通勤の時間も数えてよいですか?
A: 数えられます。厚生労働省の「1日60分」は歩行や家事を含む身体活動の量で、WHOの週150〜300分も通勤や家事の中強度の活動を含めて数えます。早歩きなど、息が少し弾む程度の強さが目安です。
Q4: 長くやるほど効果は大きくなりますか?
A: WHOは、週300分を超えても追加の利益があり得るとしています。ただし厚生労働省のガイドは、高齢者向けの項で、どこからがやりすぎかの根拠はまだ不十分としています。疲れが翌日に残らない範囲で増やしてください。
Q5: 脂肪を燃やすにはどの強さがいいですか?
A: 運動中に脂肪が最も多く使われる強さは、一般の人で最大酸素摂取量の47〜52%付近という報告があります。ただし体脂肪の減り方は、週の合計量と食事で大きく変わります。強さにこだわるより、続けられる強さで時間を確保してください。強さを上げる方法はHIITとは?、有酸素と無酸素の仕組みの違いは有酸素運動と無酸素運動の違いで扱っています。
まとめ
有酸素運動の時間は、週の合計で考えます。WHOの目安は中強度で週150〜300分、高強度で週75〜150分です。全身持久力を高めるなら、厚生労働省は1回30分・週3回以上を示しています。
「20分以上続けないと効果がない」という最短時間の決まりはなく、10分ずつ分けても足し合わせられます。早歩き程度なら毎日行えます。
ハイロックスに向けては、週の合計に加えて、長めに続けて動く日を週1回作ると本番の形に近づきます。強さの決め方はジョギングのペースの目安、練習全体はハイロックスのトレーニング完全ガイドで確認できます。
※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。
※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載の時間・回数・頻度は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。
※本記事は次の資料に基づきます。週の組み方の例は、これらをもとに本サイトがまとめたものです。平均完走タイムは HyroxDataLab による公開リザルトの第三者集計で、HYROX公式が発表した数値ではありません。
- 成人・高齢者の推奨、最短時間と頻度のQ&A、全身持久力の伸ばし方、高血圧と運動、翌日の疲れ、安全上の注意: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 成人の推奨量、10分以上の条件の撤廃、週300分超の追加の利益: Bull ほか(2020)WHO 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour
- 分割と連続の比較: Murphy ほか(2019)The Effects of Continuous Compared to Accumulated Exercise on Health
- 体重と運動量: Donnelly ほか(2009)ACSM Position Stand: Appropriate Physical Activity Intervention Strategies for Weight Loss
- 脂肪の使われ方と強さ・時間: Achten・Jeukendrup(2004)Optimizing fat oxidation through exercise and diet
- 3週間での変化: Murias ほか(2010)
- 初心者のけがの頻度: Videbæk ほか(2015)
- 中強度の目安(話せるが歌えない): CDC: How to Measure Physical Activity Intensity
- ハイロックスの競技形式: HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27
- 平均完走タイム: HyroxDataLab: What is a Good HYROX Time
