最終更新: 2026年10月18日
プロテインを飲むタイミングは、運動の前でも直後でもかまいません。「直後30分以内」にこだわる必要もありません。23件の研究をまとめた分析では、1日のたんぱく質の総量の違いを調整すると、運動の前後1時間以内に摂るかどうかで筋肉の増え方に差は出ませんでした。優先するのはタイミングより1日の総量です。目安は体重1kgあたり1.4〜2.0g、1回20〜40gを3〜4時間おきに分けて摂ります。
この記事の要点
- 運動の前と後のどちらに飲んでも、筋肉の増え方はほぼ変わりません。「直後30分以内」は必須ではありません
- 筋トレをする人の1日の目安は体重1kgあたり1.4〜2.0gです。1回量は20〜40gを、3〜4時間おきに分けます
- 練習前の食事から3〜4時間以上空いているなら、練習後は早めに摂ります。就寝前に30〜40gを摂る方法も研究されています
プロテインはいつ飲むのが一番効果的ですか?
研究の結論は「前でも後でもよい」です。2013年のメタ分析(Schoenfeld ほか)は、筋トレの前後1時間以内にたんぱく質を摂る群と摂らない群を比べました。筋肥大は23件・525人、筋力は20件・478人の研究が対象です。
単純に比べると筋肥大にわずかな差が出ました。ところが、1日のたんぱく質の総量などをそろえて分析すると、筋力も筋肥大も差がなくなりました。筋肥大の差を最もよく説明したのは、1日の総量でした。
運動の前と後を直接比べた研究だけを集めた2025年のメタ分析(Casuso・Goossens)もあります。4週間以上の筋トレを行った5件の研究です。
| 比べた項目 | 前に摂る群と後に摂る群の差 |
|---|---|
| 除脂肪量(筋肉を含む) | 差なし |
| チェストプレスの筋力 | 差なし |
| レッグプレスの筋力 | 前に摂る群が大きい(ぎりぎり有意。研究が少なく不確か) |
脚の筋力だけ前に摂る群が上回りましたが、上半身との差は統計的に確かめられませんでした。著者は、タイミングで筋肉量の変化は大きく変わらないと結論しています。研究数が少ないため、脚の結果は今後の検証待ちです。
運動直後30分の「ゴールデンタイム」は本当ですか?
2013年の総説(Aragon・Schoenfeld)は、運動直後の狭い時間枠という従来の見方に、近年の研究が疑問を投げかけていると述べています。国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解は、運動による筋肉の合成の高まりは少なくとも24時間続くとしています。ただし、時間がたつほど弱まるとも書いています。
直後が大事になる場面もあります。同じ総説は、練習前の食事から3〜4時間以上空いて練習を始めた場合、練習後できるだけ早く25g以上のたんぱく質を摂るよう勧めています。体が分解に傾いた状態を戻すためです。
また、練習前と練習後の食事を3〜4時間以上離さないことも勧めています。本サイトの目安は次のとおりです。
| 練習前の状況 | 練習後の摂り方 |
|---|---|
| 1〜2時間前にたんぱく質を含む食事をした | 練習前の食事から3〜4時間以内に次の食事を摂れば足ります |
| 前の食事から3〜4時間以上空いている | 練習後なるべく早く25g以上(目安20〜40g)を摂ります |
| 朝の空腹のまま練習した | 練習後なるべく早く摂ります |
1日にどれくらい、1回に何gとればいいですか?
ISSNは、運動する人の1日の量を体重1kgあたり1.4〜2.0g、1回量を0.25g/kgまたは20〜40gとしています。49件・1,863人をまとめたメタ分析(Morton ほか 2018)では、1日1.62g/kgを超えると筋肉の増え方は頭打ちでした。ISSNの推奨幅はこれより広く、2.0gまでを含めています。体重別に計算すると次のとおりです。
| 体重 | 1日の目安(1.4〜2.0g/kg) | 練習後の1回(0.3g/kg) |
|---|---|---|
| 50kg | 70〜100g | 15g |
| 60kg | 84〜120g | 18g |
| 70kg | 98〜140g | 21g |
※体重からの計算は本サイトによるものです。練習後の1回量は、下で触れる共同声明の0.3g/kgから計算しました。
米国スポーツ医学会(ACSM)などの共同声明は、1日の量を1.2〜2.0g/kgとしています。分け方は、ISSNが3〜4時間おき、共同声明が3〜5時間おきです。共同声明は、主な練習の後に0.3g/kgを摂ることも勧めています。
プロテインは食事の代わりではありません。ISSNは、食事だけで必要量をまかなうこともできるとしたうえで、量を確保しやすい手段としてサプリメントを位置づけています。
なお、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量は、18〜64歳の男性65g、女性50gです。これは不足を避けるための値で、筋トレの効果を高める量として定められたものではありません。
就寝前と朝に飲む意味はありますか?
就寝前: ISSNは、寝る30分前にカゼイン(牛乳に多いたんぱく質)を30〜40g摂ると、夜間の筋肉の合成が高まるとしています。夕食から就寝まで時間が空く人には選択肢になります。ただし、1日の総量を満たしたうえでの上乗せです。
朝: 日本の研究グループの論文(Aoyama ほか 2021)では、マウスで1日の早い時間のたんぱく質摂取が筋肥大を促しました。人の調査では、朝食で多く摂る人は夕食に偏る人より筋肉量の指標と握力が高い結果でした。
人の結果は調査時点の関係を見たもので、因果は確かめられていません。対象者の条件が限られるため、若い競技者にそのまま当てはまるとは限りません。この論文は、1日の食事のたんぱく質の配分は偏りがちだと指摘しています。朝食に1品足すのは、分け方を均等にする手段として使えます。
ハイロックスの練習ではどう考えればいいですか?
ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと8種目を交互に8回繰り返すフィットネスレースです。ランのような持久系と、サンドバッグランジやウォールボールのような筋トレの要素が混ざるため、練習も両方を組み合わせます。考え方はハイブリッドトレーニングとはにまとめています。
ISSNは、持久系の選手はまず炭水化物を十分に摂るよう勧めています。たんぱく質を足すと、筋肉のダメージを抑え回復を助ける可能性があるとしています。たんぱく質の総量と分け方は、ランの日も筋トレの日も同じです。長いランの日は、そこに炭水化物を十分に足します。
本サイトは次の順で整えることを勧めます。
- 1日の総量を体重1kgあたり1.4〜2.0gに近づける
- 3〜4食に分けて、1回20〜40gにそろえる
- 前の食事から空いた練習のあとは早めに摂る
ランジやスクワットの多い日は筋肉痛も出やすくなります。回復の方法とプロテインの効果は筋肉痛の回復は何日?、練習全体の組み立てはハイロックスのトレーニング完全ガイドを参照してください。大会当日の補給は別の話で、ハイロックス当日の補給食とサプリ戦略で扱っています。
プロテインのタイミングの注意点・向かない人・限界は?
腎臓病などの持病がある人は、量を増やす前に医師に相談してください。 ISSNは、健康な運動者では多めの摂取による腎臓や肝臓への害は示されていないとしています。腎臓病で食事の指示を受けている人は、その指示を優先してください。
上限ははっきりしていません。 食事摂取基準は、根拠が十分でないとして耐容上限量を設けていません。代わりに、目標量の上限を総エネルギーの20%としています。
サプリメントには注意点があります。 成分表示が不明瞭な製品には、禁止物質が混入するリスクがあります。大会に出る人はハイロックス当日の補給食とサプリ戦略のアンチドーピングの節も確認してください。
研究には限界があります。 多くは若い人の数週間〜数か月の筋トレ研究です。前後を直接比べた分析は5件と少なく、ハイロックスのような複合練習を対象にした研究は少ないのが現状です。タイミングの影響が小さいことは、総量を満たしている場合の話です。
よくある質問
Q1: プロテインは運動前と運動後のどちらに飲むべきですか?
A: どちらでもかまいません。前後を直接比べたメタ分析で、筋肉量の変化に差はありませんでした。練習前の食事から3〜4時間以上空いているなら、練習後に早めに摂ります。
Q2: 筋トレしない日も飲んだほうがいいですか?
A: 1日の総量が足りないなら摂ってかまいません。ISSNは運動による筋肉の合成の高まりが少なくとも24時間続くとしており、休みの日も総量と分け方は同じ考え方です。
Q3: 1回に60gなど多めに飲めば効率がいいですか?
A: ISSNの1回量の目安は20〜40gです。まとめて摂るより、3〜4時間おきに分けるほうが目安に沿います。
Q4: 寝る前のプロテインは太りますか?
A: ISSNは、寝る前のカゼインが夜間の脂肪の分解を妨げなかったという研究を紹介しています。ただし体重の増減は1日の摂取エネルギー全体で決まります。
Q5: ランニングだけの人もプロテインは必要ですか?
A: ISSNは、持久系ではまず炭水化物を十分に摂るよう勧めています。たんぱく質は、食事で不足する分を補う位置づけです。
Q6: 食事だけで足りますか?
A: 食事だけでもまかなえます。ISSNも食事から必要量をまかなうことは可能としています。プロテインは、量の確保や持ち運びがしやすい手段の一つです。
まとめ
プロテインを飲むタイミングは、運動の前でも後でもかまいません。研究では、1日の総量をそろえるとタイミングの差はほとんど出ませんでした。目安は1日に体重1kgあたり1.4〜2.0g、1回20〜40gを3〜4時間おきです。「直後30分」は必須ではなく、前の食事から3〜4時間以上空いた練習のあとに早めに摂れば足ります。
ハイロックスの練習では、ランの日も筋トレの日もたんぱく質の総量をそろえ、長いランの日は炭水化物を足してください。練習全体の組み立てはハイロックスのトレーニング完全ガイド、回復は筋肉痛の回復は何日?で確認できます。
※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。
※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。腎臓病などで食事の制限を受けている方は、たんぱく質を増やす前に必ず医師に相談してください。記載の量は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。
※本記事は次の資料に基づきます。種目の内容は HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27 に基づきます。
- タイミングのメタ分析(23件・525人): Schoenfeld ほか(2013)
- 運動の前と後を直接比べたメタ分析: Casuso・Goossens(2025)
- 1日の量・1回量・分け方・24時間・就寝前・持久系・安全性: ISSN Position Stand: Jäger ほか(2017)
- 1日1.62g/kgで頭打ち: Morton ほか(2018)
- 練習前後の食事の間隔: Aragon・Schoenfeld(2013)
- 1日1.2〜2.0g/kg・練習後0.3g/kg: ACSM・米国栄養士会・カナダ栄養士会 共同声明(Thomas ほか 2016)
- 朝のたんぱく質摂取: Aoyama ほか(2021)
- 推奨量・耐容上限量・目標量: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」
