最終更新: 2026年10月12日
ダンベルトレーニングを始めた初心者は、しゃがむ・股関節を折る・押す・引く・頭上へ押す・片脚の6つの動きを1種目ずつ選ぶと、全身をまんべんなく鍛えられます。目安は各種目8〜12回で限界になる重さで1〜3セット、週2〜3日です。同じ重さで全セット12回できたら、次の重さに上げて8回に戻します。
この記事の要点
- 種目は動きの種類で選び、大きな筋肉・複数の関節を使う種目から先に行います
- 回数・頻度は米国スポーツ医学会(ACSM)の初心者向け指針が基準です。週の合計セット数が多いほど筋肉が増えやすいという分析もあります
- 毎セット限界まで追い込む必要はありません。重さは「回数が上限に届いたら上げる」で管理します
初心者は何の種目をやればいいですか
部位ではなく動きの種類で選ぶと、抜けや偏りが出ません。ダンベル2個(ベンチがあればなお良い)で組める全身メニューです。
| 順番 | 種目 | 動きの種類 | 主に鍛える部位 |
|---|---|---|---|
| 1 | ゴブレットスクワット | しゃがむ | 太ももの前・お尻・内もも |
| 2 | ルーマニアンデッドリフト | 股関節を折る | 太ももの裏・お尻・背中 |
| 3 | ベンチプレス(床で行うフロアプレスでも可) | 前へ押す | 胸・肩の前・腕の裏 |
| 4 | ワンハンドロウ | 後ろへ引く | 背中・腕の前 |
| 5 | ショルダープレス | 頭上へ押す | 肩・腕の裏 |
| 6 | リバースランジ | 片脚で踏ん張る | 太もも・お尻 |
順番には理由があります。ACSMの指針は、大きな筋肉の種目を小さな筋肉の種目より先に行い、複数の関節を使う種目を1つの関節の種目より先に置くよう勧めています。腕だけを曲げ伸ばしする種目は、この6種目に慣れてからで足ります。
最後のランジは、後ろへ踏み出すリバースランジから入るのが無難です。男性9人の研究では、股関節にかかる負荷は前へ踏み出すランジより小さくなりました。
各種目のフォームは個別の記事で詳しく扱っています。しゃがむ動きはゴブレットスクワットのやり方、股関節を折る動きはデッドリフトのフォーム、片脚の動きはランジのやり方を参照してください。
回数・セット数・頻度はどれくらいですか
初心者の目安は、ACSMの指針と厚生労働省のガイドで次のように示されています。
| 項目 | 初心者の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 1セットの回数 | 8〜12回で限界になる重さ | ACSM |
| セット数 | 1〜3セット | ACSM |
| 頻度 | 週2〜3日 | ACSM・厚生労働省 |
| セット間の休憩 | 1〜2分(重い種目は2〜3分) | ACSM |
セット数は、1つの部位を週に合計何セット行ったかで考えると整理しやすくなります。15件の研究を統合した分析では、週のセット数が1増えるごとに筋肉の増え方が約0.37%大きくなりました。週5セット未満・5〜9・10以上の3区分で比べた結果は、差の傾向にとどまっています。
頻度も分析があります。10件の研究をまとめた2016年の分析では、合計の量をそろえた比較で週2回のほうが週1回より筋肉が増えました。一方、25件をまとめた2019年の分析では、合計の量が同じなら週の回数による差は見られませんでした。
まとめると、同じ部位を週2回、合計の量を少しずつ増やすのが初心者の基本線です。たとえば各種目3セットを週2日行うと、太ももの裏はルーマニアンデッドリフトだけで週6セットです。お尻はスクワット・ルーマニアンデッドリフト・ランジの3種目で使うため、合計がさらに積み上がります。
| 曜日 | 内容 |
|---|---|
| 月 | 全身6種目(各2〜3セット) |
| 火・水 | 休むか、ラン・ウォーキング |
| 木 | 全身6種目(各2〜3セット) |
| 金〜日 | 休むか、ラン・ウォーキング |
厚生労働省の解説は、筋肉の修復に2〜3日の休息を挟んで繰り返すと筋力が上がるとしています。同じ全身メニューは、月曜と木曜のように間をあけて行います。
重さはどう選び、いつ増やしますか
「8〜12回で限界になる重さ」は、フォームを崩さずに8〜12回できる最大の重さという意味です。初回は次の手順で決めると迷いません。
- 軽いダンベルで10回行い、動きを確かめます
- 1段階重くして、何回できるかを試します
- 12回を楽に超えるならさらに重く、8回に届かないなら1段階軽くします
- 決めた重さを種目ごとに記録します
毎セット、限界まで追い込む必要はありません。15件の研究をまとめた2023年の分析では、限界まで行う場合と手前で止める場合で、筋肉の増え方にはっきりした差は見られませんでした。限界の定義を広く含めると限界側がごくわずかに有利という結果もありますが、差は小さいものです。最後の1〜2回でフォームが崩れるなら、そこで止めて構いません。
重さを増やす時期について、ACSMは「目標より1〜2回多くできる日が2回続いたら、負荷を2〜10%上げる」と示しています。ダンベルは重さの刻みが粗く、軽いものほど1段階の上げ幅が割合として大きくなります。そのため本サイトでは、同じ重さで全セット12回できたら次の重さに上げ、8回に戻す進め方を勧めます。
負荷の重さでは効果が変わるのでしょうか。21件の研究をまとめた2017年の分析では、1RMの60%以下と60%超を、どちらも全セット限界まで行って比べています。この条件で、筋肉の増え方は同程度でした。ただし最大の筋力(1回だけ上げられる重さ)は、重い負荷のほうが大きく伸びています。
ハイロックスではどこで効きますか
ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと8種目を交互に行うフィットネスレースです。ダンベルの全身メニューは、後半の3種目の準備につながります。
| ハイロックスの種目 | 本番の重さ(ウィメンズ/メンズ・ウィメンズプロ/メンズプロ) | ダンベルでの準備 |
|---|---|---|
| Farmers Carry(ファーマーズキャリー)200m | ケトルベル2×16kg/2×24kg/2×32kg | ダンベルを両手に下げて歩く。握力と姿勢の保持 |
| Sandbag Lunges(サンドバッグランジ)100m | サンドバッグ10kg/20kg/30kg | リバースランジで片脚の筋力を作る |
| Wall Balls(ウォールボール)100回 | ボール4kg/6kg/9kg | ゴブレットスクワットで深くしゃがむ型を作る |
サンドバッグランジは、毎回後ろ足の膝が床に明確に触れることが動作基準です。ダンベルのランジでも、膝を床近くまで下ろす深さで練習すると本番の動きに近づきます。ウォールボールは、しゃがんだときに股関節が膝より下に来ないと数えられません。
注意したいのは、本番の重さと回数です。ウォールボールは軽いボールを100回繰り返す種目で、8〜12回の筋力メニューとは性格が違います。ACSMは、筋肉の持久力には軽〜中程度の負荷で15回を超える回数と、90秒未満の短い休憩を勧めています。大会が近づいたら、一部の種目をこの形に切り替えると準備に合います。
種目ごとの攻略はFarmers Carry攻略、Sandbag Lunges攻略、Wall Balls攻略にまとめています。ケトルベルを使う練習はケトルベルトレーニング入門、練習全体の組み立てはハイロックスのトレーニング完全ガイドを参照してください。
注意点・向かない人・限界は?
関節に痛みがある人、持病がある人。 厚生労働省のガイドは、運動で悪化する整形外科的な問題がある場合は事前に医師へ相談し、低い強度・短い時間から始めるよう求めています。痛みが出た種目はその場で中止してください。
重い重さで脚を鍛え続けたい人。 ダンベルの脚の種目は、手や胸の前で保持できる重さが上限になりやすい種目です。脚の筋力が伸びると負荷が足りなくなるため、その段階ではバーベルの種目へ移るのが自然です。
走る力をつけたい人。 ダンベルトレーニングは筋力の練習です。心肺の持久力は、走る練習を別に積む必要があります。ハイロックスは合計8kmを走る競技で、ランの代わりにはなりません。
よくある質問
Q1: 毎日やってもいいですか?
A: 同じ全身メニューを毎日行うより、週2〜3日で間を空けるほうが目安に沿います。毎日動きたい日は、ランやウォーキングを入れてください。
Q2: 1回のトレーニングは何分くらいかかりますか?
A: 休憩の長さで大きく変わります。6種目を3セットずつ行うと休憩は十数回入り、重い種目は1回2〜3分です。時間が無い日は、各種目1〜2セットに減らしても指針の範囲に入ります。
Q3: ダンベルは何kgを買えばいいですか?
A: 種目ごとに扱える重さが違うため、1つの重さでは足りなくなります。重さを変えられる可変式か、複数の重さをそろえる形を検討してください。器具の考え方は自宅トレ用おすすめ器具で扱っています。
Q4: お腹や二の腕だけ痩せることはできますか?
A: 部分痩せを支持する結果は出ていません。11人が片脚だけを12週間鍛えた小さな研究でも、鍛えた脚の脂肪量は有意に変わりませんでした。全身の筋トレに、食事と有酸素運動を組み合わせてください。
Q5: 筋肉痛が残っているときはどうしますか?
A: 痛みが強い部位は休ませ、痛みの少ない部位の種目や軽い運動に切り替えてください。回復の目安は筋肉痛の回復は何日?にまとめています。
まとめ
ダンベルトレーニングの初心者メニューは、しゃがむ・股関節を折る・押す・引く・頭上へ押す・片脚の6つの動きを1種目ずつ選ぶ形が基本です。各種目8〜12回で限界になる重さで1〜3セット、週2〜3日から始めてください。
重さは、同じ重さで全セット12回できたら上げて8回に戻す、の繰り返しで管理します。限界まで追い込む必要はありません。
ハイロックスを目指すなら、ファーマーズキャリー・サンドバッグランジ・ウォールボールの準備につながります。練習全体の組み立てはハイロックスのトレーニング完全ガイドを参照してください。
※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。
※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載の回数・セット数は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。
※本記事は次の資料に基づきます。ハイロックスの重量・動作基準は HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27 によるもので、ルールブックは毎シーズン改訂されます。
- 回数・頻度・種目の順番・負荷の上げ方・筋持久力: ACSM Position Stand: Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults(2009)
- 頻度: 厚生労働省「筋力トレーニングについて」(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)
- 医師への相談: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 休息の間隔: 厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」
- 週のセット数: Schoenfeld ほか(2017)
- 頻度(2016年): Schoenfeld ほか(2016)
- 頻度(2019年): Schoenfeld ほか(2019)
- 重い負荷と軽い負荷: Schoenfeld ほか(2017)
- 限界まで行うかどうか: Refalo ほか(2023)
- フロントランジとリバースランジ: Comfort ほか(2015)
- 部分痩せ: Ramírez-Campillo ほか(2013)
- ハイロックスの規定: HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27
