最終更新: 2026年10月11日
スクワットジャンプ(ジャンプスクワット)は、しゃがんだ姿勢から股関節・膝・足首を一気に伸ばして真上へ跳び、膝を曲げて静かに着地する自重の跳躍トレーニングです。お尻・太もも・ふくらはぎを使い、短い時間で大きな力を出す力(パワー)を鍛えます。初心者は跳ばない練習から段階的に進め、跳ぶ段階では3〜6回を1〜3セット、週2〜3日が目安です。膝はつま先と同じ向きに保ち、高さが落ちたらその日は終えます。
この記事の要点
- 普通のスクワットが筋力をねらうのに対し、スクワットジャンプは速く力を出す練習です。回数は少なめ、休憩は長めにします
- 着地は、膝と股関節を曲げて衝撃を受け、音を小さくします。膝を内側に入れません
- いきなり連続で跳ばず、スクワット→つま先立ち→1回ずつ跳ぶ→連続で跳ぶ、の順に進めます
スクワットジャンプはどこに効きますか?普通のスクワットとの違いは
跳び上がるときに働くのは、股関節を伸ばすお尻(大臀筋)、膝を伸ばす太ももの前(大腿四頭筋)、足首を伸ばすふくらはぎ(下腿三頭筋)です。着地では同じ筋肉が、伸ばされながら衝撃を受け止めます。
普通のスクワットとの違いは、ねらう力と練習の組み方です。米国スポーツ医学会(ACSM)の2009年の指針では、次のように分けています。
| 項目 | 普通のスクワット(筋力) | スクワットジャンプ(パワー) |
|---|---|---|
| 重さ | 8〜12回で限界になる重さ | 脚の種目は最大挙上重量の0%(重りなし)〜60% |
| 1セットの回数 | 8〜12回 | 3〜6回。限界まで行わない |
| セット数 | 1〜3セット | 1〜3セット |
| セット間の休憩 | 1〜2分 | 強度が高い主要種目は2〜3分以上 |
| 頻度 | 週2〜3日 | 週2〜3日 |
パワーの練習は、限界まで回数を重ねないのが筋力の練習との違いです。ACSMは、パワーの練習を筋力の練習と組み合わせて行うことを勧めています。
男子大学選手12人の研究では、1回のジャンプスクワットで出せる力の大きさ(パワー)は、重りを持たない自重のときが最も大きくなりました。ただし、これは鍛えた選手が1回で出せる力を測った結果で、練習の効果を比べたものではありません。本サイトは、初心者はまず着地の形を覚えることを優先し、自重で行うことを勧めます。
正しいやり方は?しゃがむ深さ・跳び方・着地
- 足を肩幅に開き、つま先を少し外へ向けます。手は胸の前で組むか腰に置きます
- 胸を張ったまま、お尻を後ろへ引いてしゃがみます
- 床を強く押し、股関節・膝・足首を伸ばして真上へ跳びます。慣れたら腕を振り上げても構いません
- 空中では体をまっすぐに保ち、脚を前後に開きません
- つま先から着地し、かかとまで下ろしながら膝と股関節を曲げて衝撃を受けます
- 膝はつま先と同じ向きに保ちます。慣れるまでは着地の姿勢で止まってから次の1回へ移り、連続で跳ぶのは下の段階4からにします
しゃがむ深さは、背中が丸まらず、かかとが浮かない範囲にします。本サイトの目安は、太ももが床と平行になる手前です。
着地は衝撃の大きさを左右します。女子選手8人が台から跳び降りた研究では、膝をあまり曲げない硬い着地は、膝を深く曲げる柔らかい着地より床からの衝撃が大きくなりました。柔らかい着地では、股関節と膝の筋肉がより多くの衝撃を吸収していました。
30cmの台から跳び降りる80人の研究では、脚の姿勢について指示を受けたグループと、着地の音に注意を向けたグループで、衝撃のピークが小さくなりました。着地の音を小さくする意識は、そのまま使える目安です。
膝の向きにも注意します。女子選手205人を追った研究では、のちに膝の前十字靱帯を切った9人は、跳んだあとの着地で膝が内側へ入る角度と力が大きくなっていました。
初心者は何回・何セット・週何回やればいいですか
いきなり連続で跳ぶと、着地の形を覚える前に回数が増えます。本サイトは次の4段階で進めることを勧めます。
| 段階 | やり方 | 回数の目安 | 次へ進む目安 |
|---|---|---|---|
| 1. スクワット | 跳ばずにしゃがんで立つ | 10回×2セット | 膝が内に入らず、かかとが浮かない |
| 2. つま先立ち | 立ち上がりながらかかとを上げ、つま先立ちで止まる | 10回×2セット | ふらつかずに止まれる |
| 3. 1回ずつ跳ぶ | 小さく跳び、着地の姿勢で2秒止まる | 5回×2〜3セット | 着地の音が小さく、膝が内に入らない |
| 4. 連続で跳ぶ | 着地からそのまま次の1回へ跳ぶ | 5〜6回×3セット | 最後まで高さと着地の形が保てる |
段階分けと回数は本サイトの提案です。段階3・4の回数とセット数は、上のACSMのパワー練習の目安に合わせています。セット間は2〜3分休み、高さが落ちたらその日は終えるのが本サイトの勧め方です。跳ぶ練習は週2〜3日とし、跳ぶ日を続けないでください。
26件の研究をまとめた分析では、跳ぶ練習(プライオメトリクス)で垂直跳びの高さが伸びました。反動をつけて跳んだときの高さは平均8.7%、反動なしで跳んだときは平均4.7%伸びています。研究の期間は4〜24週で、中央値は8〜9週前後でした。
連続して跳ぶ回数を増やして心肺を追い込む使い方もあります。その組み方はサーキットトレーニングとは?で扱っています。
ハイロックスではどこで効きますか
ハイロックス(HYROX)は、1kmのランと8種目を交互に行うフィットネスレースです。スクワットジャンプの動きは2つの種目につながります。
最終種目の Wall Balls(ウォールボール)は、胸の前にボールを持ってしゃがみ、立ち上がる勢いで壁の的へ投げる動作を100回繰り返します。しゃがんだ位置から一気に伸びる点がスクワットジャンプと共通です。ただし本番では股関節が膝より下に来る深さが必要なので、深さの練習はゴブレットスクワットのやり方で補います。投げ方と分け方はWall Balls(ウォールボール)攻略にまとめています。
4種目めの Burpee Broad Jump(バーピーブロードジャンプ)は、バーピーのあと両足で前へ跳んで80mを進みます。ルールブック(26/27シーズン版)では、両足同時に踏み切り・同時に着地し、前後のずれは5cmまでです。スクワットジャンプは、両足をそろえて着地する練習にもなります。判定基準はBurpee Broad Jump攻略、前へ跳ぶコツは立ち幅跳びのコツを参照してください。練習全体の組み立てはハイロックスのトレーニング完全ガイドにまとめています。
注意点・向かない人・限界は?
膝・足首・腰に痛みがある人。 着地の衝撃が繰り返しかかる運動です。痛みがあるときは跳ばず、医師に相談してください。持病のある人も、始める前に医師に確認します。
尿漏れが気になる人。 クロスフィットを行う571人の調査では、尿失禁は女性で約45%、男性で約6%にみられ、繰り返しのジャンプで多く起きていました。気になる場合はハイロックス中の失禁(尿漏れ・便意)も参照してください。
集合住宅の人。 段階1・2は跳ばないので音が出ません。段階3以降は滑らない床かマットを使い、着地の音と時間帯に注意します。
研究の限界。 上の分析の対象は11〜29歳で、約8割が男性でした。パワーと着地の研究も、若い選手や若い人を対象にしたものです。中高年や運動習慣のない人で同じ効果が出るかは確かめられていません。また、跳ぶ力の練習はランの持久力の代わりにはなりません。
よくある質問
Q1: スクワットジャンプとジャンプスクワットは違う種目ですか?
A: 呼び方の違いで、同じ動きを指すことが多いです。研究では、しゃがんだ位置で止まって反動を使わずに跳ぶ方法を「スクワットジャンプ」と呼び、反動をつける跳び方と区別します。反動をつけるほうが、ほぼ常に高く跳べます。
Q2: 毎日やってもいいですか?
A: 本サイトは週2〜3日を勧めます。ACSMの指針でも、初心者のパワー練習は週2〜3日です。跳ぶ日を続けないでください。
Q3: 重りを持ってやったほうが効きますか?
A: 本サイトは、初心者はまず自重で着地の形を覚えることを勧めます。ACSMの指針では、軽い重り(最大挙上重量の30%)を持ったジャンプスクワットが垂直跳びを伸ばした研究も紹介されています。重りを足すのは、自重で段階4まで安定してできてからにしてください。
Q4: ダイエットに向いていますか?
A: 数回で止めるパワー目的のやり方では、運動している時間が短くなります。体脂肪を減らすには、食事を含めた生活習慣全体を見直してください。
Q5: どれくらいで効果が出ますか?
A: 効果が確かめられた研究の練習期間は4〜24週で、中央値は8〜9週前後でした。いつ効果が出始めるかは、研究からは分かりません。
Q6: 着地で膝が痛くなったらどうすればいいですか?
A: その日は中止します。痛みが引いてから、跳ばない段階1・2で再開してください。痛みが続くときは医師に相談してください。
まとめ
スクワットジャンプは、背中を丸めずにしゃがみ、真上へ跳び、膝と股関節を曲げて静かに着地する種目です。初心者は3〜6回を1〜3セット・週2〜3日とし、スクワット→つま先立ち→1回ずつ跳ぶ→連続で跳ぶ、の順に進めてください。
ハイロックスを目指すなら、練習計画はハイロックスのトレーニング完全ガイドを参照してください。
※本サイトはハイロックス(HYROX)の非公式のファンサイトです。HYROXおよび関連する名称・ロゴは HYROX World GmbH の商標であり、本サイトは同社およびその関連会社とは一切関係がありません。大会日程・ルール・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は公式サイトをご確認ください。
※本記事は医療・健康上の助言ではありません。持病のある方、体調に不安のある方は医師に相談のうえ運動してください。記載の回数・セット数は一般的な目安で、個人の状態に応じた処方ではありません。
※本記事は次の資料に基づきます。ウォールボールとバーピーブロードジャンプの規定は HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27 によるもので、ルールブックは毎シーズン改訂されます。
- 回数・休憩・頻度(筋力とパワー): ACSM Position Stand: Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults(2009)
- 自重で出せるパワー: Cormie ほか(2007)
- 反動あり・なしの跳び方の違い: Van Hooren・Zolotarjova(2017)
- 跳ぶ練習と垂直跳び: Markovic(2007)
- 硬い着地と柔らかい着地: Devita・Skelly(1992)
- 着地の指示と衝撃: McNair ほか(2000)
- 着地の膝の向きと前十字靱帯: Hewett ほか(2005)
- 体脂肪と生活習慣: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- ジャンプと尿失禁: Dominguez-Antuña ほか(2022)
- ウォールボール・バーピーブロードジャンプの規定: HYROX SINGLE RULEBOOK 26/27
